ポンピドゥー・センターはピカソ、マティス、ウォーホールなど近現代美術の傑作が見られるパリで人気の美術館です。
ポンピドゥー・センター(ポンピドゥ・センター)「国立近代美術館」の見どころ、チケットを安く買う方法、行き方、混みぐあい、優先入場などを、どこよりも分かりやすく解説します。
パリ中心部にあるポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)は近現立近代美術館(Musée national d’Art moderne)は、ピカソ、マティスなど近代美術の巨匠の作品や、現代美術の最新アートまでが展示されており大変人気があります。
混雑もルーヴル美術館ほどではないので、気軽に見学することができます。パリ・ミュージアムパスを持っていれば入場無料になります。パスがない場合も、オンラインチケットが割引販売されているので、事前に購入しておくとお得に入場できます。記事中で、割引チケットの購入方法もご紹介します。
目次
新型コロナ営業再開後のポンピドゥー・センター 最新情報(2022年9月更新)
ポンピドゥー・センター(国立近代美術館)は、新型コロナウィルスの影響で閉鎖されていましたが、現在は通常通り営業しています。
事前のチケット予約は必須ではなくなりましたが、事前予約が推奨されています。
ポンピドゥー・センター「国立近代美術館」の攻略ポイント
攻略1:ポンピドゥー・センター「国立近代美術館」とは?
ポンピドゥー・センター (Centre Pompidou)は、近代美術愛好家のジョルジュ・ポンピドゥー大統領の構想で建設された近現代芸術の総合施設です。その中心となるのが国立近代美術館(Musée national d’Art moderne)です。
パリの美術館は年代に分けられて展示されています。ルーブル美術館が古代から1848年の2月革命まで、オルセー美術館は1848年から1914年まで、国立近代美術館が1905年から現代まで、の美術品を展示しています。つまり、ルーブル美術館、オルセー美術館、国立近代美術館の3館を見学すれば、古代から現代までのアートを一通り鑑賞できます。
国立近代美術館のコレクション数は、10万点以上と莫大で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に続く、世界第二位の数を誇ります。
ルーブル美術館、オルセー美術館は宮殿や駅を美術館に再利用したため歴史的建造物の佇まいです。一方、ポンピドゥー・センターは近現代芸術の拠点となるべく建設されたので、工場のような斬新なデザインです。1977年の落成当初は、歴史ある街並みのパリの景観を乱す、と批判も多くありましたが、現在ではパリのシンボルの一つになっています。
攻略2:見どころ・必見作品
ポンピドゥには、ピカソ、ブラック、マティス、シャガール、ウォーホール、ダリ、モンドリアンなど近現代美術の超有名画家の傑作がたくさん展示されています。ここでは必見作品6点を紹介します。
マティス「黒猫を抱く少女」(1910年)
ピカソ「アルルカン」(1923年)
モンドリアン「ニューヨークシティー」(1942年)
シャガール「ワイングラスを掲げる二人の肖像」(1917-1918年)
アンディ・ウォーホル「10人のリズ」(1963年)
マルセル・デュシャン「泉」(1917年)
なんで便器が必見作品?と思われるかもしれませんが、「現代アートの出発点」と言われている超重要な作品です。後ほど、もう少し詳細に解説します。
攻略3:混雑具合・行列の回避方法
ルーヴル美術館などと比べると混雑はそれほどでもありません。入場方法のところで詳しく解説しますが、私は朝11時のオープン15分前に並び、11時5分にはセンターの中に入れました。
混雑具合は、Affluencesのページでも確認できます。下記URLをアクセスしてください。
攻略4:見学時間の目安
1時間半~2時間あれば主要作品はじっくり見学できると思います。現代美術をじっくり見学する場合は、2時間以上かかるかもしれません。
ポンピドゥー・センター「国立近代美術館」の入場料・チケットの選び方
ポンピドゥー・センター「国立近代美術館」の入場料は以下の通りです(2022年9月現在)。
割引:11€
※毎月第1日曜日は入場無料
「国立近代美術館」に入らず展望テラスだけを利用するVIEW OF PARIS TICKET 5€も販売されています。
チケットを事前予約も可能です。予約時に手数料1€がかかるので実質的な入場料は15€になっています。
ルーブル美術館、オルセー美術館など他の美術館も訪問する場合は、パリ・ミュージアムパスの利用がお得です。パリ・ミュージアムパスを安く買う方法、対象の美術館、使い方などを下記記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
ポンピドゥー・センターのチケットを安く予約できるサイトを調査しました。
チケットサイトでの予約が再開される可能性があるので比較表は残しておきます。
GetYourGuideなど予約サイトにて、公式サイトと同じ金額で購入できます。公式サイトは英語ですが、GetYourGuide等は日本語で予約できるのがうれしいところです。
GetYourGuideは海外旅行のチケット予約では定番のサイトです。チケット予約の手順、口コミなどを下記記事でまとめていますので、参考にしてください。
他の人気観光スポットの割引チケットも調査していますので参考にしてください。ポンピドゥー・センター公式サイト チケット予約
ポンピドゥー・センター公式サイトでチケットを予約する場合、下記URLになります。
予約の流れを簡単にご紹介します。
予約サイトにアクセスすると特別展示など、たくさんのイベントが表示されます。「国立近代美術館」の通常展示を予約する場合は、Museum + Gallery 3&4 ticketを選びます。
入場日を選択します。選択すると、予約できる時間帯が表示されます。入場する時間帯を選びます。
チケットの種類・枚数を選択します。通常の大人のチケットはFull fareです。枚数を選択したら、画面下のAdd to cartをタップします。
カートにチケットが追加されます。予約手数料1€がプラスされます。パリ・ミュージアムパスの予約には手数料がかからないようです。日時に間違いがないことを確認したら、Buyボタンをタップします。
予約にはユーザー登録が必要です。未登録の場合は、NEW ACCOUNTをタップします。氏名などを入力してユーザーを登録します。
大まかな流れの説明は以上です。
ポンピドゥー・センター「国立近代美術館」の営業時間・休館日
火曜日が定休日なので注意してください。また、他の美術館より遅い朝11時のオープンです。
・木曜日:11:00-23:00
※チケット売り場は1時間前にクローズ
■休館日
・毎週火曜日
・5月1日
ポンピドゥー・センターへの行き方
ポンピドゥー・センターはパリ中心部東側にあります。
最寄り駅は、地下鉄11番線のRambuteau(ランビュトー)駅です。その他、1番、11番線のHôtel de Ville(オテル・ド・ヴィル)駅、1, 4, 7, 11, 14番線のChâtelet(シャトレ)駅からも近いです。ノートルダム大聖堂やルーヴル美術館からも近く徒歩で10分くらいの距離です。
ポンピドゥー・センター「国立近代美術館」の入場方法・混雑状況
入場口は、Visitors without tickets(青:チケット予約なし)、Visitors with tickets(オレンジ:チケット予約済)、その他、団体などに分かれています。
以下はコロナ前の入場待ちの様子ですが、参考までに記載しておきます。
入口に到着したのはオープンする11時の15分前でした。平日ですが、前に40人くらいは並んでいました。予想より混んでいました。
オープン時間の11時近くになると、私の後ろにも30人くらい並んでいました。
11時になり入場が開始しました。私は時間指定のチケットではないので真ん中の通路を進みます。右側の時間指定チケットの列は、見ての通り人数が少ないです。
正面入口近くまで通路を進むと、セキュリティチェックのため列が止まります。
セキュリティチェックを受け、センターの中に入りました。この時点で11時5分でした。オープン15分前から並んだので計20分ほどでスムースに入場できました。チケットを当日購入する場合は、地下のチケット売り場へ行くために正面の階段を降ります。事前購入チケットやミュージアムパスを利用する場合は、階段を降りずに右手に進みます。写真の右手奥が近代美術館へ進むルートです。
階段を降りて右側に、チケット売り場があります。朝一だったので、ほとんど並んでいる人はいませんでした。
チケットを購入したら、MUSEE(美術館)と書かれているエスカレーターを上がります。
エスカレーターを上がったところで最初のチケットチェックがあります。美術館の入口でもう一度チケットをチェックされます。美術館に入らずに、テラスへ展望に行く場合は、チェックはここだけです。なお、スーツケースやリュックは中に持ち込めないので、0階にあるクロークに預ける必要があります。
チケットのチェックが終わったら、左手に進むと、エスカレーターの乗り場があります。
エスカレーターを上がります。近代美術館(MUSEE)は、4階と5階にあります。入口は5階です。
5階まで上がると、←MUSEE(美術館)の看板が出ています(写真だと少しわかりにくいです)。ちなみに、エスカレーターを6階まであがると、特別展などが開催されるGALERIE 1、2(ギャラリー1,2)や、レストランがあります。私は最初、ギャラリー1,2も近代美術館の一部かと誤解して6階まで行ってしまいました。
ここでもう一度チケットを見せて美術館に入場します。受付の方が素敵な笑顔で出迎えてくれました。
入場してすぐにパンフレットがあります。フロアマップと各部屋の説明が書かれています。英語版しかありません。
国立近代美術館の見どころ・見学コース
国立近代美術館のフロアマップ
国立近代美術館はポンピドゥー・センターの4階、5階に位置します。
5階:近代芸術コレクション(1905年-1965年)
入口のある5階は1905年-1965年の近代芸術コレクション(MODERN COLLECTIONS)が展示されています。フロアは長方形の部屋が並ぶシンプルな構造になっています。マップをクリックすると拡大できます。
■主な展示ルーム
ROOM 6,7:マティス
ROOM 8,9,11,16:キュビズム(ピカソ、ブラック、レジェ)
ROOM 14,17:抽象絵画(カンディンスキー)
ROOM 13:デ・ステイル(モンドリアン)
ROOM 35:ポップアート(ウォーホル、リキテンスタイン)
4階:現代芸術コレクション(1965年-)
4階は、1965年から現在までの現代芸術コレクション(CONTEMPORARY COLLECTIONS)が展示されています。部屋の構成が5階に比べると複雑で迷路のようになっています。
5階:近代芸術コレクション(1905年-1965年)の見どころ・必見作品
5階には、マティス、ピカソ、ブラック、シャガール、モンドリアン、ウォーホール、キリコなど、近代芸術の巨匠の作品が展示されています。基本的には、ROOM 5から数字順に見学していくのが良いと思います。現代美術にはあまり興味がない、という場合は5階の近代美術がメインになりますので、ゆっくり鑑賞してください。
以下、4階で見るべき作品をご紹介します。
マティス
マティス「黒猫を抱く少女」(1910年)
マティス「豪奢、静寂、逸楽」(1904年)
フォービズム(野獣派)の出発点的作品で、マティスの全作品の基礎となっています。
マティス「豪奢I」(1907年)
マティス「グレタ・プロゾルの肖像」(1916年)
フォービズム
ブラック「大きな裸婦」(1907-1908年)
ドラン「二艘の小舟」(1906年)
ピカソ
ピカソ「アルルカン」(1923年)
ピカソ「女性の胸」(1907年)
ピカソ「ミューズ」(1918-1919年)
ピカソ「読書する婦人」(1920年)
キュビズム
レジェ「婚礼」(1911-1912年)
レジェは最初、ピカソ、ブラックらとともに作風はキュビスムでしたが、次第に独自の様式を確立していきました。
表現主義・新即物主義
ディクス「ジャーナリスト、シルヴィア・フォン・ハルデンの肖像」(1924年)
シャド「St. Genois d’Anneaucourt」(1927年)
デ・ステイル・具象絵画
モンドリアン「ニューヨークシティー」(1942年)
カディンスキー「黒い弧のある絵」(1912年)
シュルレアリスム
キリコ「ギョーム・アポリネールの肖像」(1914年)
ダリ「ピアノに出現したレーニンの幻影」 (1931年)
ジョアン・ミロ「青 II」(1941年)
シャガール
シャガール「ワイングラスを掲げる二人の肖像」(1917-1918年)
シャガール「エッフェル塔の花嫁、花婿」(1938-1339年)
花嫁、花婿として描かれているのは、シャガール自身と彼の妻ベラです。
ダダ
マルセル・デュシャン「泉」(1917年)
男性用の小便器を横に倒し、署名をしただけの作品です。展示会に出展しようとしたところ、許可されませんでした。そのため、デュシャンはその展示会の実行委員長でしたが辞任してしまいました。
アートは、自分が表現したいものを表現するものでなので「なんでもあり」ということが広まるきっかけになったので、この作品は「現代アートの出発点」とも言われています(素人的解説ですが)。
ピカビア「ウドニー」(1913年)
ピカビア「カコジル酸塩の眼」(1921年)
ブルトン「アンドレ・ブルトンのアトリエ」
ヌーヴォー・レアリスム
クライン「IKB、モノクロブルー」(1960年)
インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)と言うイヴ・クラインが作った色で書かれています。彼は、この色で特許も取得しています
抽象表現主義
ロスコ「無題(BLACK, RED OVER BLACK ON RED)」(1964年)
ニューマン「シャイニングフォース」(1961年)
ポップアート
アンディ・ウォーホル「10人のリズ」(1963年)
ウォーホールはイギリスの女優「エリザベス・テイラー」を好んで題材に使いました
キネティック・アート
バルテュス「アリス」(1933年)
5階の見学が終わったら、ROOM5の前の階段で4階に降ります。
4階:現代芸術コレクション(1965年-)の作品
4階には部屋のスペース全体がアートになったものなど多様な現代芸術の作品が展示されています。
現代芸術はなかなか必見というのが難しいので、見学して気になった作品をいつくかリストアップします。
FLUXUS「BEN LE MAGASIN DE BEN」(1958-1973)
アガム「Aménagement de l’antichambre des appartements privés du Palais de l’Elysée pour le président Georges Pompidou」(1974年)
タイトルは記録しわすれましが、個人的には面白かった作品です。ぱっと見、なにか紐を使ったアートに見えました。
近くで見てみると、イヤフォンでできています。しかも、あちこちのイヤフォンから音が出ていて幻想的な空間を作り出していました。これだけのイヤフォンを買うのにいくらかかったんだろう、という下世話なことも考えてしまいました。
Reinhard Mucha「Le problème figure- fond dans l’architecture du baroque (seul le tombeau sera tien sans-partage)」(1985年)
これもタイトルを記録し忘れましたが、部屋にポツンと真っ青な棺桶が置かれていました。
4階の現代美術の見学が終わったら、次に説明するミュージアム・ショップを通って出口へ行けます。5階のテラスに行っていない場合は、エレベーターで再度5階に上がって見学してみてください。
ポンピドゥー・センターのお土産・ショップ
ショップは、4階の出口の手前にあります。ショップを通って出られます。
ポンピドゥー・センターのデザインのカップ、ノート、トートバッグなどお土産の定番が並んでいます。ペーパークラフトもありました。
ピカソ作品のグッズには、ピカソ人形もありました。ちょっと可愛いです。
やはりマチスは人気で、グッズや書籍も専用コーナーがあります。
「リサとガスパールがなぜここに?」と思ってよく見たら、なんとポンピドゥー・センターとコラボしているグッズでした。リサとガスパールのコラボグッズは、山梨の富士急ハイランドのリサとガスパールタウンにもあります。ポンピドゥー・センターと富士急ハイランドの意外な共通点を見つけてしまいました。
チケット売り場がある地下のフロアにブックショップがあります。こちらでもお土産が売られています。こちらの方が広さがありました。ブックショップの上は、カフェになっていて軽食をとれます。
アンディ・ウォーホル風デザインのエコバッグ 10.9€です。
トートバッグは、ポンピドゥー・センターのデザイン以外に作品のデザインのものもありました。25€です。
ポンピドゥー・センターの展望テラス・レストラン
5階の近代美術館の入口の先には、パリの景色を見渡せるテラスがあります。“View of Paris” ticketというチケット5€を買えば、美術館に入場しなくてもテラスから眺望を楽しめます。
エッフェル塔が遠くに見えます。右側で頭一つ飛び出しているのはサントゥスタッシュ教会です。レアル駅のそばにあります。
一番右側にパリで一番高いモンマルトルの丘が見えます。モンマルトルの丘の頂上には、サクレ・クール寺院もかすかに望めます。
南側の景色です。真ん中に見えるのはサン・ジャックの塔です。フランス革命中に教会の本体が壊されてしまい、塔だけが残りました。塔のちょっと右側にうっすら見えるビルがモンパルナスタワーです。また、一番左に見えるのが、火災でダメージを受けてしまったノートルダム大聖堂のファサードです。
6階にはレストラン・ジョルジュがあります。眺めが良いと評判のレストランです。営業時間は12時から14時までです。ランチタイムのみの営業なので注意してください。私が訪問した時は、まだオープン前でした。
参考)ポンピドゥー・センターの公式サイト
ポンピドゥー・センターの公式サイトには日本語のページがあります。ただし、日本語のページは情報が少なく、省略されているものも多くあります。英語のページも合わせて参照してください。
以上、ポンピドゥー・センター「国立近代美術館」の見どころ、行き方、チケット、混雑回避の方法などを詳しく説明しました。
ポンピドゥー以外の、ルーヴル美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館なども見学方法を詳しく解説しています。下記のメニューからクリックしてください。