ユーロスター(Eurostar)の乗車手続き、Wi-Fi、コンセントなど乗車時に必要な情報を詳しく解説します。ユーロスターの主要駅パリ北駅、ロンドン・セントパンクラス駅、ブリュッセル南駅での乗車の流れなども詳しくご紹介します。
ユーロスターはイギリス国境を超えるため、出入国審査などがあります。そのため、EU圏内の国際列車乗車より流れが複雑になっています。
そこで本記事では、主要駅であるパリ北駅、ロンドン・セントパンクラス駅、ブリュッセル南駅、それぞれの駅についてユーロスターへの乗車の流れを詳しく解説します。
なお、安くチケットを買う方法など、ユーロスターのチケット購入については別記事で詳しく解説しています。まずはこちらの記事を参考にしてください。
ユーロスター乗車時のポイント
ユーロスター乗車時に、知っておくと役立つポイントを最初にご紹介します。
①出入国審査がある
冒頭で述べたとおり、イギリスはEUを離脱したので、ユーロスター乗車時はパスポート・チェックなど出入国審査があります。
※EU離脱前からシェンゲン協定に未参加だったので出入国審査はありました
イギリスは入国審査が厳しいことで有名でしたが、日本のパスポート所有者は2019年5月から自動化ゲートを利用してスムースに手続きできるようになりました。ユーロスターにも自動化ゲートが導入されています。
その代わりかもしれませんが、パリ北駅でのフランス出国審査では細かく質問を受けました。イギリス出国用のユーロスターや飛行機のチケットを出せるようにするなど、準備しておくとよさそうです。
②1時間前には到着しておく
ユーロスターは30~45分前に乗車手続きがクローズします(ビジネス・プレミアは15分前まで)。遅れると乗車できません。
クローズ時間は駅によって異なります。到着の推奨時間とゲートクローズの時間を公式サイトでチェックできます。
また、出国・入国手続きで混雑時は時間がかかる可能性があります。さらに、ロンドン、パリでの乗車駅までの地下鉄が頻繁に止まったりするので駅到着が遅れる可能性もあります。
これらの理由から、ユーロスター乗車駅には、時間に余裕をもって到着することをおすすめします。目安としては1時間半前に到着すれば、慌てずにすみます。買い物をするなど、もっと余裕が必要な場合は、1時間半前でも良いです。
ただし、出入国手続きが出発時刻1時間20分~1時間30分前にならないとはじまりません。これ以上、早く来ても手続き開始を待つことになります。
③手荷物の持ち込み
ユーロスターには下記の手荷物を持ち込めます。
・2つのバッグ(長さ85cmまでのリュックサック、バッグ、スーツケース、スキー道具など)
・1つの小さい荷物(バンドバックやコンピューターバッグなど)
ビジネス・プレミアはバッグを3つまで持ち込めます。
手荷物検査がありますが、飛行機と違って飲み物を持ち込むことができます。
④運行状況の確認
ユーロスターは遅延や運行中止が発生する場合があります。
ユーロスター公式サイトで、運行状況・出発予定時間を事前に確認しておくことをオススメします。
ユーロスター 運行状況(公式サイト)
下記画面のように時刻通り(On Time)かどうかを確認できます。
以上、まず知っておくべきポイントでした。
以下では、パリ北駅、ロンドン・セントパンクラス駅、ブリュッセル南駅の順に、乗車駅ごとにユーロスター乗車の流れを解説しています。
(1)パリ北駅からのユーロスター乗車ガイド
パリのユーロスター発着駅はパリ北駅(Paris Gare du Nord)です。北駅は、名前の通りパリ市内の北側にあります。パリ中心部から地下鉄で10分ほどかかります。
パリには主要駅が複数あるので、間違えないように注意してください。パリ東駅(Gare du Est)が徒歩10分くらいの距離にあり、特に紛らわしいので注意してください。
パリ北駅へのアクセス
パリ北駅には、地下鉄(Metro)の4番線、5番線、近郊鉄道RER B線でアクセスできます。シャルル・ド・ゴール空港からもRER B線を使って乗換なしで移動できます。ただしRER B線は、治安が良くないので注意してください。
なお、パリ市内の地下鉄、RERの乗車方法については下記記事を参考にしてください。
ユーロスター乗り場へ移動
地下鉄を降りると、下記のようにGare du Node Train stationへの案内が出ています。この案内にしたがって鉄道のパリ北駅へ移動します。
鉄道のパリ北駅に近づくと、下記のようにEurostarの案内が出ています。この案内にしたがって進みます。
パリ北駅の地上階(0階)には、TGVなどの高速鉄道が発着するプラットフォームが並んでいます。
後ろを振り返ると、1階(日本の2階)にユーロスターの乗り場が見えます。案内にしたがってユーロスターの乗り場へ進みます。
この近辺には、コンビニRELAYなどのお店があります。ユーロスターの待合所にもRELAYやPAULなどがありますが、小さいのでこちらで必要なものを買っておいてもよいと思います。手荷物検査がありますが、飛行機とちがって飲み物も持込めます。
エスカレーターで乗り場のある1階に上がります。エレベーターは左側にあります。
ユーロスターの乗車手続き
エスカレーターを上がると、乗車手続きのエリアです。手続きは下記の順序で行います。
↓
2:フランス出国審査(Franch Border Police)
↓
3:イギリス入国審査(UK Border Police)
↓
4:手荷物検査(Customs)
↓
5:乗車(Boarding)
昔はイギリス入国カードを記入する必要がありましたが、現在は不要です。日本のパスポート所有者は自動化ゲートで入国手続きをします。
列車の出発時刻が近づかないと乗車手続きに進めません。入口に下の掲示板があります。8:33時点で10:13発(1時間40分後)の便は手続きを開始していました。その1時間後発の11:13発は開始されていませんでした。
1時間半前くらいに行けば、手続きが開始しているようです。1時間半より前に行っても待合所で暇なので(実際、暇でした)、早くて1時間半前の到着で良さそうです。
入口は4列に分かれており、頭上に案内が出ています。日本人は中央の2列を進みます。一番左の列はEU居住者用で、一番右は団体用です。平日の8時台でしたが、人が少なく、ほとんど並びませんでした。
列を進むと、自動改札が見えてきます。左側に係員がいる改札がありますが、通常は右側の自動改札へ進めば良いです。
自動改札の先が、フランス出国審査です。日本人は、下の写真のように指示された窓口(1,2)に並びましょう。
イギリスの入国審査が厳しいと聞いていたのですが、入国審査が自動化ゲートになったせいか、フランス出国審査でイギリスでの滞在日数など予定をしつこく聞かれました。運が悪いことに、入国審査官がパスポートからフランス入国スタンプを見つけることができず、さらに時間がかかりました。
このようなことに備えて、私は自作の旅行日程表を印刷して持参しているので、それを見せて通してもらえました。イギリス出国用のユーロスター乗車券や航空券を持っている場合は、提示できるように準備しておくと良いと思います。
フランス出国審査のあと、日本のパスポート所有者は自動化ゲート(e-Gates)でイギリス入国審査を行います。自動化ゲートは、羽田空港などにあるものと似ていて、パスポートを読み込ませた後、顔認証をしました。
最後に手荷物検査を通過して、ユーロスターの乗車手続きが完了します。
ユーロスター待合室
乗車口はGATE AとGATE Bの2つあります。手前のGATE Aは11-18号車に、奥のGATE Bは1-10号車に近い乗車口です。
こちらが実際に使用したユーロスターの乗車券です。Coach 6(6号車)なので、奥の乗車口を利用します。
待合室のディスプレイには発車ホームが表示されています。どのホームへ行く場合もGATE AかGETE Bから入場します。
GATE Aの手前付近にATMがあります。日本のクレジットカードでポンドの引き落し(キャッシング)ができます。
コンビニRELAYもあります。ペットボトルの飲み物や軽食を購入できます。待合室で飲み物を買うには、ここが一番安いと思います。
奥に進むと、GATE Bがあります。出発時刻の30分くらい前には列ができていました。
GATE Bの手前にはベーカリーPAULがあります。私はここでパンを買って車内で食べました。
GATE Bの奥の方には、イギリスのカフェ・チェーンCOSTA COFFEEがあります。ロンドンにはたくさん店舗がありますが、パリの店舗はレアです。PAULよりも、価格は安めです。
ユーロスター乗車
ブリッジを発車ホームまで進みます。私が乗車した便は3番線出発でした。
エスカレーターでプラットフォームに降ります。写真で降りているのが進行方向で、先頭が1号車です。
乗車扉に号車番号と目的地(Londn St P)が表示されています。確認して乗車しましょう。
入口は、写真のように段差があります。大きなスーツケースをお持ちの場合は、係員が付近にいるので手伝ってもらいましょう。
ユーロスターの荷物置き場
車両に入ってすぐのところに、3段になっている荷物置きがあります。大きなスーツケースはここに置くことができます。ロンドン直行便の場合は、途中で置き引きにあう可能性は低いと思いますが、貴重品は中に入れておかないようにしましょう。
ユーロスターの車内・座席
スタンダード・クラスの車内はこのような感じです。2列✕2列の配置でした。
座席番号が頭上に表示されているので、指定された席に座ります。自分の席に、先に座っている人がいたらチケットを見せて、どいてもらいましょう。
スタンダード・クラスのシートは、特別高級感があるわけでもなく普通の特急という感じでした。3時間弱の乗車なので十分快適に過ごせました。
ユーロスターのWi-Fi
ユーロスターの車内では無料Wi-Fiを利用できます。
接続手順を説明します。Androidスマホを例に説明しますが、iPhoneもほぼ同じ手順です。
Wi-Fiの設定を開くと、EurostarTrainsWifiがあるので、これに接続します。
接続してしばらくすると、ここをタップしてネットワークにログイン、と表示されるのでタップします。
Wi-Fiに関する説明画面が表示されます。基本的には、接続状態は状況によって変わるということが書いてあります。一番下のConnectボタンをタップすると接続します。
私が乗車した便は比較的Wi-fiを快適に利用できました。
ただし、便によっても差があるようです。ユーロスター車内で確実にネットを利用したい場合は、フランスでもイギリスでも格安でインターネット接続できるThreeのプリペイドSIMなどを利用すると安心だと思います。
ユーロスターのコンセント
ユーロスター車内には、スタンダード・クラスにもコンセントが付いています。スマホなどの充電が可能です。
コンセントは、前の座席の間にあります。下の写真のピンク枠の位置です。
コンセントは2つ付いていて、一つはイギリスで利用されるBFタイプ、もう一つはフランスで利用されるCタイプです。隣の席の人と共有なので、両方の変換プラグを用意しておくと安心です。
ユーロスター その他の設備
その他、ユーロスターにはサンドイッチなどの軽食やコーヒーなどの飲み物を買えるビュッフェ車両、トイレが付いています。
トイレは車両の前後どちらかにあります。また、車両内にはビュッフェ車両の方向が下の写真のように掲示されています。
車窓とユーロトンネル
乗車便はパリ北駅を定刻に出発しました。時々、遅延することもあるようです。
短いですが、パリ北駅発車直後の動画です。隣の線路のユーロスターが写っています。
ユーロスターのハイライトは、英仏海峡トンネル、通称ユーロトンネルです。ドーバー海峡を挟んでフランスのカレーとイギリスのフォークストンを結んでいます。トンネル長さ50.5kmは世界3位です。海底部の長さだけで言うと、青函トンネルを上回る世界一位の37.9kmです。
フランス側のユーロトンネルの入口には、双眼鏡の絵が描いてありました。ちょっと隠れていますが、右側にはEURO TUNNELのロゴも見えます。トンネルの入口を見たい場合は、Google Mapで走行位置を確認しておくと良いです。
ユーロトンネルを抜け、ロンドン市街地に入りました。ドイツ鉄道DBの貨物列車が見えます。ドイツともユーロトンネルを通って荷物が行き来しているようです。
ロンドン・セントパンクラス駅に到着
ロンドン・セントパンクラス駅に近き、アナウンスがありました。降りる準備をします。
ロンドン・セントパンクラス駅に定刻通り到着しました。プラッフォトームの前方に出口(Way out)があります。
手続きなどはなく、そのままセントパンクラス駅の構内へ出ます。地下鉄駅はUndergroundの案内にしたがって進みます。
ロンドンでの地下鉄の切符の買い方、乗り方などは下記記事を下記記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
セント・パンクラス駅に到着後、鉄道(National Rail)でイギリス各地に移動する場合は、こちらの記事を参考にしてください。
(2)ロンドン・セントパンクラス駅からのユーロスター乗車
ロンドン発のユーロスターは、セント・パンクラス駅(St.Pancras)から発車します。写真がセント・パンクラス駅です。ハリー・ポッターで有名なキングス・クロス駅(King’s Cross)と隣接しています(写真の背中側です)。地下鉄駅は共有されていて、そのままの名前のキングス・クロス・セント・パンクラス駅(King’s Cross St. Pancras)です。
お隣のキングス・クロス駅ではハリー・ポッターでホグワーツエクスプレスが発車する9と3/4番線のセットで記念撮影ができます。本物の9番線でなく駅構内にセットがあります。
セント・パンクラス駅へのアクセス
セント・パンクラス駅には、地下鉄キングス・クロス・セント・パンクラス駅からアクセスします。主要駅の1つで、Circle、Hammersmith & City、Metropolitan、Northern、Piccadilly、Victoriaの6路線が通っています。
地下鉄で移動する方法は下記記事で詳しく説明しています。
地下鉄をキングス・クロス・セント・パンクラス駅で降ります。セント・パンクラス駅には、下の写真のようにTrainsの案内が表示されているので、これに従って進みます。
改札を出てからも少し歩きますが、セント・パンクラス駅(St.Pancras)方面へ進みます。
ユーロスター乗り場へ移動
構内には、下記のようにユーロスターのマークでDepatures(出発)と案内が表示されているので、この方向に進みます。
ここがユーロスターの乗り場の入口です。次に自動改札を通過しますが、出発予定時刻の約1時間20分くらいにならないと入場できません。
入出国手続き
入場可能な時間になったら、チケットのバーコードをスキャンして自動改札を通ります。
自動改札を通過すると、最初に荷物のセキュリティ検査があります。続いて、イギリスの出国審査、フランスの入国審査を受けます。
手続きが終わると、下の写真の待合スペースで乗車(Boarding)の開始を待ちます。待合スペースには電光掲示板があるので乗車する便の出発ホームを確認しておきましょう。狭いので列車が集中している時間帯は、席が埋まっていることがあります。待合いスペース内には、ATMやWHSmithなどがあります。ここで€を降ろしておくと、フランス到着後にすぐ移動できます(ほぼクレカで用が足りますが)。
ユーロスターへ乗車
出発時刻の20分くらい前にアナウンスがあり、乗車開始になります。エスカレーターでホームに上がります。
ホームには電光掲示板があるので、間違った便に乗車していないかを確認できます。
パリ北駅/ブリュッセル南駅 到着後
ユーロスター車内などの様子はパリ発の説明を参考にしてください。パリやブリュッセル到着後も手続きなどはありません。
パリ到着後のフランス国鉄SNCFや地下鉄への乗車については下記記事を参考にしてください。
ブリュッセ到着後のベルギー国鉄(NMBS/SNCB)のチケット購入方法や乗車方法は下記の記事で詳しく説明しています。参考にしてください。
(3)ブリュッセル南駅からのユーロスター乗車
ベルギーの首都ブリュッセル(Bruxelles)とロンドン間もユーロスターが運行しています。ブリュッセル側の発着駅は、写真のブリュッセル南駅(Bruxelles Midi)になります。
ブリュッセルには南駅の他にも、ブリュッセル中央駅(Bruxelles Central)、ブリュッセル北駅(Brussel Nord)があります。グラン・プラスに近いのはブリュッセル中央駅です。中央駅そばのホテルに滞在した場合、鉄道で南駅まで移動します。中央駅からの電車は南駅をほぼ必ず通るので本数は多いです。なお、ユーロスターのチケットがあれば中央駅から南駅の区間は切符を購入せずに乗車できます。
ブリュッセル南駅のユーロスターの乗り場は、プラットフォーム1,2です。パリ・ロンドンと同様にユーロスターのロゴ入りで乗り場への案内がでています。下記の構内図を参照してください。
乗車までの流れも、他の駅の手続きとほぼ同じです。
最初に、チケットを自動改札に読み取らせます。その後、荷物のセキュリティチェックを受けます。最後に、EUの出国審査と、イギリスの入国審査を受けます。出国審査は、パリと同じく質問がいくつか来る厳しめの審査です。
手続きが終わったら、乗車開始(Boading)の指示が出るまで待合室で待ちます。指示が出たらユーロスターに乗り込みます。到着駅のロンドンのセントパンクラス駅では特別な手続きは必要ありません。
以上、ユーロスターでロンドン、パリ、ブリュッセルを移動する場合の列車の乗り方、Wi-fiなどについて詳しく解説しました。
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今度初めてパリ→ロンドンを移動するのですがとても詳しい説明で参考になりました。
ありがとうございます。
C様
コメントありがとうございます。少しでもお役に立てれば幸いです。
記事中で紹介している公式サイトの推奨到着時間もコロナの影響で以前より前倒しになっているので、
余裕を持って行動されると良いかと思います。