ゴッホ、ダヴィンチ、フェルメールなどの名画が見られるロンドンの「ナショナル・ギャラリー」の見どころ作品、お勧めの見学ルート、混みぐあい、所要時間など、見学に役立つ情報をわかりやすく解説します。
大英博物館と並んでロンドンで必見の美術館・博物館が「ナショナル・ギャラリー」(National Gallery)です。
ゴッホ、フェルメール、モネ、レンブランド、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロなど誰でも知っている巨匠の名画がたくさん展示されています。
本記事では、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの必見作品をなるべく多く、かつ、効率よく鑑賞できるよう、見学コースなどをご紹介します。
ナショナル・ギャラリー 新型コロナ関連最新情報(2022年9月更新)
現在、ロンドン「ナショナル・ギャラリー」は通常通りの見学ができるようになっています。
新型コロナによる休館から再開した直後は入場予約が必須でしたが現在は予約なしでも入場できます。
事前予約も可能ですが、予約者の優先レーンは無いようです。
ナショナル・ギャラリーの攻略ポイント
ナショナル・ギャラリー見学の計画をたてる上で、知っておきたい攻略ポイントをまず解説します。
攻略1:ナショナル・ギャラリーとは?
ロンドンのトラファルガー広場に面して建つナショナル・ギャラリーは、13世紀~20世紀の絵画を中心としたコレクションを展示しているイギリスの国立美術館です。設立は1824年です。
ヨーロッパの美術館は、王家、貴族、教皇など権力者のコレクションが元になっているのに対し、ナショナル・ギャラリーは個人にコレクションが元になっている美術館です。
ちなみに、イギリス王家が所有する通称ロイヤル・コレクションは現在も私有財産です。バッキンガム宮殿のクイーンズギャラリーなどで有料公開されています。その数はゆうに20万点を超しています。
このため、ナショナル・ギャラリーの所蔵数は約2,600点と多くはありません。
しかし、ルネサンスの三大巨匠ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロや、バロック絵画の巨匠フェルメール、レンブラント、カラヴァッジョ、ルーベンス、ベラスケス、印象派/ポスト印象派のゴッホ、モネ、ルノワール、セザンヌなど、教科書に登場する西洋画家はほぼ網羅されています。
攻略2:ナショナル・ギャラリー 必見の展示物
記事本文では、ナショナル・ギャラリーの必見作品を40点以上、紹介します。ここでは、5点を厳選して、どんな傑作が展示されているのかをまず紹介します。
① ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「ひまわり」:Room 43
ゴッホの代名詞とも言えるひまわりの絵です。
② ヨハネス・フェルメール「ヴァージナルの前に立つ女」:Room 25
日本でも人気のフェルメール作品も展示されています。対になる「ヴァージナルの前に座る女」も所蔵しています。
③ ラファエロ「カーネーションの聖母」:Room 61
盛期ルネサンスの巨匠ラファエロの作品も複数展示されています。
④ ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」:Room 28
「アルノルフィーニ夫妻像」はナショナル・ギャラリーの必見作品に必ず挙げられます。
⑤ レオナルド・ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」:Room 9
2枚描かれたダヴィンチの「岩窟の聖母」の一枚があります。もう一枚は、ルーブル美術館にあります。
攻略3:混雑具合・行列の回避方法
人気のある美術館ですが、入場のために長時間待つという感じではありません。
館内も大英博物館のように人気作品に人が群がって近づけない、というほどではありません。
攻略4:ナショナル・ギャラリーの入館料は?
ナショナル・ギャラリーは無料で入館できます。
館内で寄付をしたり、館内マップ・グッズを購入して運営に貢献するのも良いと思います。
攻略5:写真撮影は?
ナショナル・ギャラリーのほぼすべての展示物は写真撮影が可能です。
攻略6:スーツケースなど大きい荷物は持ち込み不可
館内には、56 x 25 x 45 cmを超える大きさの荷物を持ち込んだり、クロークに預けることができません。
そばにあるチャリング・クロス駅で事前に荷物を預けて置く必要があります。
攻略7:見学時間の目安
必見作品10~20点くらいの鑑賞に絞ると1時間くらいです。本記事で紹介する必見展示44点+αを見ると2時間はかかります。
攻略8:ロンドン・パスを利用できるか?
ナショナル・ギャラリーは無料で入場できるのでロンドン・パスを利用するメリットはありません。
コロナ前はロンドン・パスを所有していると5£のオーディオガイドを無料で借りられましたが、現在この特典はなくなっているようです。
ロンドン・パスの詳細については以下の記事を参考にしてください。
ナショナル・ギャラリー 日本語ガイド付きツアー
ナショナル・ギャラリーを日本語ガイド付きで見学できるツアーが復活しています。
こちらは大英博物館の元学芸員さんがナショナルギャラリーと大英博物館をガイドしてくれるツアーです。
ナショナル・ギャラリーの開館時間・休館日
開館時間
・10:00 – 18:00 (金曜は -21:00)
休館日
・1/1、12/24-26
2022年9月現在
金曜は夜間営業を行っています。
営業時間の変更などもありますので、公式サイトの営業時間もチェックしてください。
営業時間(ナショナル・ギャラリー公式サイト)
ナショナル・ギャラリーの最寄駅・行き方
ナショナル・ギャラリーの地下鉄最寄り駅と徒歩での所要時間は以下の通りです。
・チャリングクロス駅(Charing Cross): 2~3分
・レスタースクエア駅(Leicester Square): 6分
・ピカデリーサーカス駅(Piccadilly Circus): 7分
・エンバンクメント駅(Embankment): 8分
トラファルガー広場に面していてわかりやすい場所にあります。ただし、次の入場方法で説明するようにトラファルガー広場にある正面入口からは入場できないので気をつけてください(退場はできます)。
ナショナル・ギャラリーの入場方法
一番の最寄りのチャリングクロス駅からトラファルガー広場までは50mくらいです。
トラファルガー広場は1805年のトラファルガーの海戦の勝利を記念して設けられました。広場の北側にナショナル・ギャラリーがあります。
トラファルガー広場に面したところに正面玄関があります。ただし、正面玄関は出口専用(Exit Only)です。左(西)側のセインズベリーウィングに入口があります。
位置関係は以下のマップの通りです。
左隣りの建物セインズベリーウィングに向うと、Entranceと書かれた入口があります。
入口で手荷物検査を受けます。チケットの購入がないので、列の進みは比較的早いです。
セインズベリーウィングのグランドフロア(0階)に入場しました。展示エリアは前方に見える階段を上がったところにあります。
グランドフロアには、クローク(荷物預かり)や館内マップ2£を購入できるインフォメーションがあります。また寄付のための募金箱も設置されています。
※写真は、正面玄関のインフォメーション
ナショナル・ギャラリーのクローク(手荷物預かり)
クローク(手荷物預かり)がセインズベリーウィングの入口奥と、トラファルガー広場に面した正面入口付近にあります。
クロークに56 x 25 x 45 cmを超えるサイズの荷物は預けられません。クロークの料金は以下の通りです。
スーツケースなどの大きい荷物は、すぐそばのチェリングクロス駅で預けることができます。
ナショナル・ギャラリーのマップ
ナショナル・ギャラリーの主要展示エリアは、最上階のLevel 2 メインフロアーギャラリーです。※マップをクリックすると拡大します
<出所>ナショナル・ギャラリー公式フロアーマップを引用
建物はセインズベリーウィングとメインの建物に分かれていますが、階が同じなのでわかりやすいです。
ナショナル・ギャラリーの公式サイトでも閲覧できます。Download printable floorplanからPDF版もダウンロードできます。
ナショナル・ギャラリーマップ
フロアにマップが掲示されているので写真を撮っておくのも良いかもしれません。みどころ作品も書かれています。
ナショナル・ギャラリーの見どころ・見学コース
セインズベリーウィングの階段を上ります(脚の悪い方は、北側にエレベーターがあります)。
ナショナル・ギャラリーのオーディオガイド
階段を上がると、メインフロアーギャラリーです。オーディオガイドの貸し出しカウンターがあります。
オーディオガイドは5£です。見どころ作品の位置が書かれたマップが付いてきます。
有効なロンドン・パスを持っていれば無料で借りることができます。
ナショナル・ギャラリーは、[1]1200-1500, [2]1500-1600, [3]1600-1700, [4]1700-1930 で年代ごとに展示エリアが別れています。
この年代順に見ていくのがわかりやすいです。以下の見どころの紹介も、この順で紹介します。
館内には、わかりやすく案内がでています。また、部屋番号も書かれているで、いる場所がわからなくなったら、これらで確認してください。
補足:2022年9月現在の展示ルームの番号に更新しました。
2022年9月現在、ラファエロなど未展示の作品が多くなっています(未展示の作品の番号は更新していません)。
ナショナル・ギャラリーの公式サイトで現在の展示ルームの番号を確認できます。Not in displayと表示されている作品は展示されていません。
最初は、セインズベリーウィング側の展示エリアを見学します。
Room 51-66:1200-1500年代の見どころ
セインズベリーウィングにあるRoom 51-56には、ベリーニ、ファン・エイク、ピエロ、ラファエロなど13世紀から初期ルネサンス期までの作品が展示されています。
イギリス人またはフランス人画家「ウィルトンの二連祭壇画」(1395-1399年) :Room 51
14世紀に描かれた中世の宗教画です。聖母子にひざまずくリチャード2世を描いています。イギリスでは中世の宗教画残っていることが少なく、貴重な作品です。
ジョヴァンニ・ベッリーニ「元首レオナルド・ロレダン」(1501年) :Room 55
ベッリーニは、ルネサンス期のヴェネツィア派を代表する画家です。
描かれているレオナルド・ロレダンはヴェネツァの元首(ドージェ)です。
ラファエロ「カーネーションの聖母」(1506-1507年) :Room 61
ラファエロは、ダヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ盛期ルネサンス三巨匠の一人です。
カーネーションで幼いキリストをあやす聖母マリアの様子を描いています。ラファエロの真筆かどうか真偽が問われている作品です。
ラファエロ「ユリウス2世の肖像」(1512年) :Room 61
教皇ユリウス2世の肖像画です。ラファエロをローマに招いた教皇です。アテネの学堂など、ヴァチカン美術館ラファエロの間の絵画は、ユリウス2世の依頼で描かれました。
ラファエロ「アレクサンドリアの聖カタリナ」(1507年) :Room 61
ダヴィンチの「レダと白鳥」の構図を取り入れた絵画です。ラファエロは同時代の先輩ダヴィンチ、ミケランジェロの技法を積極的に取り込みました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」(1499-1500年) :Room 66
ダヴィンチが紙に木炭とチョークで描いたドローイングです。この絵を所有していたロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの建物バーリントン・ハウスにちなんで、「バーリントンハウスの下絵」と呼ばれることもあります。
セインズベリーウィングの見学を終えたら階段の場所まで戻り、渡り廊下でメインの建物に移動します。
Room 2-14:1500-1600年代の見どころ
メインの建物の左側にあるRoom 2-14には、ティツィアーノ、ホルバイン、ブロンズィーノ、マイセス、ヴェロネーゼなど盛期ルネサンス期の作品が展示されています。
ミケランジェロ「キリストの埋葬」(1500-1501年) :Room 8
彫刻家としても有名な盛期ルネサンスの巨匠ミケランジェロによる未完の絵画です。
ローマの教会のために描かれたパネル画です。ミケランジェロのパネル画は3枚しか現存しておらず貴重です。
ブロンズィーノ「愛の寓意」(1540-1545年) :Room 8
ブロンズィーノはマニエリスム期のフィレンツェの画家です。
中央はヴィーナスで、口づけを交わしているのがキューピッドです。メディチ家からフランス王に送られた絵画です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」(1491,1492-99/1506-08年) :Room 9
ダヴィンチは、岩窟の聖母を2枚描きました。もう一枚は、ルーブル美術館のグランドギャラリーにあります。
ミラノの教会に依頼され岩窟の聖母を描きましたが、なぜか別人に売却してしまい、もう一枚描きました。売却したほうがルーブル版、教会に納めたほうがナショナル・ギャラリー版だと言われています。
パオロ・ヴェロネーゼ「愛の寓意 – 侮蔑」(1975年) :Room 9
ヴェロネーゼは盛期ルネサンス ヴェネツィア派の画家です。
愛の寓意は4連作で、侮蔑の他に、不審、尊重、幸せな結婚があります。
ティツィアーノ「バッカスとアリアドネ」(1520-1523年) :Room 10
ティツィアーノは盛期ルネサンスのヴェネツィア派を代表する画家です。
「バッカスとアリアドネ」はワインの神バッカスがクレタ島の王女アドリアネに一目惚れし、戦車から彼女に飛びかかっている場面を描いています。
ハンス・ホルバイン(子)「大使たち」(1533年) :Room 12
ホルバインはルネサンス期のドイツの画家です。同名の父親も著名な画家なので、(子)が付いています。
この絵は、イングランド王であるヘンリー8世の命令で描かれました。左側の人物は、ポリジーの領主ジャン・ド・ダントヴィルで、右側はラヴォールの司教ジョルジュ・ド・セルヴです。下部に大きく歪んだガイコツが描かれおり、人にはいつ死が訪れるかわからないことを暗喩しています。
サンドロ・ボッティチェリ「ビーナスとマルス」(1483年) :Room 14
ボッティチェリは初期ルネサンスで最も有名な巨匠です。
美の女神ビーナスと軍神マルスが横たわっています。ビーナスはボッティチェリの代表作であるビーナスの誕生にも登場します。
パオロ・ウッチェロ「サン・ロマーノの戦い」(1450年) :Room 14
パオロ・ウッチェロは初期ルネサンスを代表するイタリア人画家の一人です。
サン・ロマーノの戦いは、フィレンツェのメディチ家の依頼で描かれました。フィレンツェ軍がシエナ軍に勝利する様子を描いた3部作です。残りの2作品は、フィレンツェのウフィッツィ美術館に所蔵されてています。
ヤン・ホッサールト「三賢王の礼拝」(1510-1515年) :Room 14
ヤン・ホッサールトはルネサンス期のフランドル出身の画家です。
三賢王の礼拝はキリスト教宗教画の鉄板の題材ですが、三賢王の一人で黒人のバルタザールが描かれた最初期の絵画です。
クエンティン・マサイス「醜女の肖像」(1513年) :Room 14
マイサスはフランドルの画家で、当初は宗教画を描いていましたが、途中から風俗画に移っていきました。
ナショナル・ギャラリーで一番インパクトがある絵かもしれません。手に持っている赤い花は求婚を象徴していますが、蕾のままなので成就しそうもないことを風刺しています。
ピエロ・デッラ・フランチェスカ「キリストの洗礼」(1450年) :Room 14
ピエロ・デラ・フランチェスカはイタリア初期ルネサンスを代表する画家です。
イエスの洗礼の様子を描いた、この絵画のシンプルな表現はどこか現在に通じるポップさを感じられます。
Room 2-14の見学を終えたら、奥のビゴットエデュケーションセンターのエリアRoom 15-32へ移動します。
Room 15-32:1600-1700年代の見どころ
奥側のRoom 15-32には、フェルメール、レンブラント、ルーベンス、ベラスケス、ヴァンダイクなど1600-1700年代の作品が展示されています。
ピーテル・パウル・ルーベンス「サムソンとデリラ」(1609-1610年) :Room 18
ルーベンスはバロック期のフランドルの画家で、「王の画家にして画家の王」とまで言われました。
恋人のデリラに裏切られて、力のみなもとである髪を切られるサムソンの様子を描いています。
ピーテル・パウル・ルーベンス「スザンナ・ルンデンの肖像画」(1622-1625年) :Room 20
肖像画の人物は特定されていませんが、ルーベンスの二人目の妻の姉のスザンナ・ルンデンではないかと言われています。
アンソニー・ヴァン・ダイク「チャールズ1世の騎馬像」(1637-1638年) :Room 21
ヴァン・ダイクはルーベンスを師に持つバロック期のフランドルの画家です。イギリス国王のチャールズ1世に宮廷画家として招かれました。この作品は、ティツィアーノの「カール5世騎馬像」を下敷きに描きました。
レンブラント「34歳の自画像」(1640年) :Room 22
レンブラントはネーデルランド出身のバロック期を代表する画家です。「光の魔術師」の異名を持ちます。
この絵は34歳のときの自画像です。高価な宝石を付けた帽子をかぶっています。
レンブラント「63歳の自画像」(1669年) :Room 22
こちらはレンブラントが死の直前63歳のときに描いた自画像です。
ヨハネス・フェルメール「ヴァージナルの前に立つ女」(1670-1672年) :Room 25
日本でも人気のバロック期を代表するオランダの画家フェルメールの作品です。
ヴァージナル(チェンバロ)を演奏する女性が描かれています。ヴァージナルと後ろの壁のキューピットの絵は、音楽と性愛の関係性を表しているとされています。
以下のヴァージナルの前に座る女と対になった作品と言われています。
ヨハネス・フェルメール「ヴァージナルの前に座る女」(1670-1672年) :Room 25
ヴァージナルの前に立つ女が右を向いているのに対し、こちらは左向きに描かれています。手前には、弦楽器のヴィオラ・ダ・ガンバが置かれています。
ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」(1434年) :Room 28
ヤン・ファン・エイクはフランドル出身の初期フランドル派を代表する画家です。
この「アルノルフィーニ夫妻像」はナショナル・ギャラリーを代表する作品の一つです。イタリア人商人のアルノルフィーニ夫妻を描いています。15世紀の作品とは思えない光で空間を表した表現は、当時の水準を超越していました。壁にかけられた凸面鏡の表現などもおもしろいです。
ディエゴ・ベラスケス「鏡の前のヴィーナス」(1647-1651年) :Room 30
ベラスケスは17世紀のスペイン絵画全盛期を代表するバロック派の画家です。宮廷画家を努め、多くの王族の肖像画を残しました。
女神ヴィーナスがベッドに横たわる後ろ姿を描いています。17世紀のスペインでは裸婦画を描くことは重罪だったため、後ろ姿になっています。
カラヴァッジョ「エマオの晩餐」(1606年) :Room 32
カラヴァッジョはルネサンス期に続いたバロック期を代表する画家です。
エマオは復活したイエスがあらわれた街で、エルサレムの近くにあります。この絵画でもカラヴァッジョの特徴である陰によって主体を浮かび上がらせる手法が使われています。
カラヴァッジョ「洗礼者ヨハネの首をもつサロメ」(1609-1610年) :Room 32
サロメがヘロデ王に舞踏の褒美としてヨハネの首を求めたため、首になって届けられたという聖書の場面を描いています。盆を持っている女性がサロメです。
Room 15-32の見学を終えたら、メインギャラリーフロアの最後の展示エリアRoom33-46へ移動します。
Room 33-46:1700-1930年代の見どころ
メインの建物の右側のRoom 33-46には、ターナー、コンスタブル、スタップス、モネ、ゴッホ、スーラなど1700-1900年代の作品が展示されています。
フランソワ=ユベール・ドルーエ「ポンパドゥール夫人の肖像」(1763-1764年) :Room 33
ドルーエは、ルイ15世時代の肖像画家です。
ポンパドゥール婦人は、ルイ15世のかつての愛人とされ、立場を活かして政治的な活動を積極的に行いました。
ウィリアム・ターナー「戦艦テメレール号」(1839年) :Room 34
ターナーはロンドン出身のロマン主義派の画家です。写実的な風景を得意としました。
この絵画は、最も偉大なイギリス絵画に選ばれた傑作です。正式な名前は「解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号」です。戦艦テメレール号は、トラファルガー海戦にも参加した軍艦です。解体されて最後は教会建設の資材に利用されました。
ジョン・コンスタブル「乾草の車」(1821年) :Room 34
ジョン・コンスタブルもターナーと同じロマン主義派を代表するイギリス人画家です.
この絵画は、彼の故郷の日常風景を描いたものです。ドラクロワにも大きな影響を与えました。
ジョージ・スタッブス「ホイッスルジャケット」(1762年) :Room 34
スタッブスは、18世紀のイギリス人画家です。馬を多く描いたことで有名です。
この絵画は、スタッブスの代表作で、ロッキンガム侯の依頼で描かれました。
トマス・ゲインズバラ「アンドルーズ夫妻像」(1750年) :Room 35
ゲインズバラは18世紀のイギリスの画家です。優れた肖像画家として知られていますが、本来描きたかったのは風景で、肖像画は金のために描くと言っていました。そのため、この絵も本来主役である夫妻が脇に追いやれています。
カナレット「石工の仕事場」(1725年) :Room 38
カナレットはベネツィア出身の画家です。故郷ヴェネツィアの風景を写真のようにリアルに描きました。
この絵は、ヴェネツィアのサン・ヴィタルにあった石工の工房を描いたものです。
クロード・ロラン「聖ウルスラの船出」(1641年) :Room 40
ロランは、バロック、古典主義のフランス人画家です。理想の風景を追求しました。
聖ウルスラは1万1千人の処女を伴って航海し、ローマの聖地を巡礼しました。黄色い服を着て旗を掲げているのが聖ウルスラです。
ポール・セザンヌ「大水浴図」(1894-1905年) :Room 41
フランスのポスト印象派の画家セザンヌの作品です。
水浴図は、セザンヌが好んで描いたモチーフです。この絵は、セザンヌ晩年に描かれたものです。
クロード・モネ「睡蓮の池」(1899年) :Room 41
モネが描いた睡蓮シリーズがナショナル・ギャラリーでも展示されています。
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「ひまわり」(1888年) :Room 43
ゴッホの代名詞とも言えるひまわりの絵です。
5点描いたひまわりのうちの1点です。アルルの家で、同居するゴーギャンを迎えるために描いたものです。
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「糸杉のある麦畑」(1889年) :Room 43
こちらもゴッホが好んで描いた糸杉です。糸杉は、死の象徴とされ、キリストが張り付けにされた十字架にも使われています。
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「ゴッホの椅子」(1888年) :Room 43
ゴーギャンとの関係が悪化した時期に描かれた絵です。座る人がいない椅子は、彼の空虚な気持ちを表したとも言われます。
ジョルジュ・スーラ「アニエールの水浴」(1884年) :Room 43
スーラは、フランスの新印象派の画家で点描を生み出しました。
セーヌ河岸のアニエールで水浴する様子が描かれています。川の対岸には、工場の煙突が見えます。
クロード・モネ「ラ・グルヌイエールの水浴」(1869年) :Room 44
モネは、作品「印象・日の出」が印象派の名前の由来にもなったフランスの画家です。
ルノアールと一緒にパリの郊外のラ・グルヌイエールへ赴き、描いた作品です。ルノワールの描いたラ・グルヌイエールもメトロポリタン美術館などにあります。
クロード・モネ「ウェストミンスターの下のテムズ川」(1871年) :Room 44
普仏戦争の兵役を避けるためモネは、パリからロンドンへ渡りました。霧のロンドンを気に入ったモネはテムズ川にかかるウェストミンスター橋やウェストミンスター宮殿を描きました。
ドミニク・アングル「イネス・モワテシエ夫人の肖像」(1856年) :Room 46
アングルは19世紀の新古典主義を代表するフランスの画家です。
豪商モワテシエの依頼で妻イネスの肖像画を描きました。完成に12年かかったそうです。
以上で2階メインフロアギャラリーの展示の見学は終了です。出る時は、トラファルガー広場に面した正面玄関を利用できます。
セインズベリーウィング側のクロークに荷物を預けた場合は、セインズベリーウィング側の出口を利用してください。
階段で0階(グランドフロア)へ降ります。0階にギャラリーA~Fにも展示があります(私が訪問したときはクローズしていました)。
ナショナル・ギャラリーのショップ・お土産
ナショナル・ギャラリーには3ヵ所ショップがあります。一番大きいのはセインズベリーウィングの入口付近にあるショップです。
トラファルガー広場側のアネンバーグコートにもショップがあります。
ゴッホ、モネなど人気の絵画をいろいろなグッズにして販売しています。以下、グッズを紹介します。
ゴッホ「ひまわり」グッズ
やはり一番人気はゴッホの「ひまわり」のグッズのようです。オシャレにディスプレイされていました。
ひまわり柄のテディがかなりかわいいです。
ゴッホ「糸杉のある麦畑」グッズ
Tシャツ、ノート、スカーフ、缶バッジから、チョコレートまであります。
モネ「睡蓮の池」グッズ
こっそり、モネの人形もありました。
モネ「ウェストミンスターの下のテムズ川」グッズ
「ウェストミンスターの下のテムズ川」は、ロンドンを描いた絵画なので人気があるようです。
岩窟の聖母、糸杉のある麦畑、睡蓮の池などのグッズ
人気作品のマグカップ、マウスパッド、コースターなどです。
トートバッグ、傘
人気作品のトートバッグと一緒に、ナショナルギャラリーのバッグもおいてあります。
ポストカード
人気作品のポストカードです。
参考)ナショナル・ギャラリーの公式サイト
ナショナル・ギャラリー公式サイト
以上、「ナショナル・ギャラリー」の見逃せない作品、混み具合、入場の流れ、見学コース、お土産などを詳しくご紹介しました。
ロンドンを代表する世界三大博物館・美術館「大英博物館」の必見作品など攻略法を、こちらの記事で解説しています。
ロンドン おすすめツアー