イギリス鉄道:National Railの乗り方、遅延など運行状況の確認方法、自動券売機の使い方、などを詳しく解説します。
イギリスの鉄道は、20以上の鉄道会社に分かれて運行されており、ヨーロッパの鉄道の中でも特にわかりにくくなっています。
自動券売機なども運行会社で異なるため、いざ切符を購入しようとすると戸惑います。
運行会社は異なりますが、元は同じイギリス国鉄ですし、National Rail(ナショナル・レイル)ブランドでいろいろな面が共通化されています。
ですので、本記事を読んでいただいて基本を抑えてしまえば、どの会社の列車にも戸惑うことなく乗車できます。
目次
イギリス鉄道に乗る際に知っておきたいこと
- イギリス鉄道は、20以上の運行会社に分割されているので、わかりにくくなっています。しかし、列車に乗車する上では、National Railブランドで統一されているので、そこまで混乱することはありません。途中で、別の運行会社に乗り換える場合も、切符は1枚で大丈夫です。
- 平日の通勤時間帯以外の乗車は、Off-Peak(オフピーク)料金で安くなります。日本の鉄道にはないシステムですが、観光客はオフピークに移動することで運賃を安くすることができます。その他、チケットを安く買うためのポイントは次の項目で説明します。
- 遅延が頻繁に発生するので、乗り換え時間に余裕を持つことをおすすめします。
イギリス鉄道のチケットの種類・買い方
冒頭で述べたように運行会社が20以上あるので、チケット予約も他の国と比べると、わかりにくくなっています。
そこで、イギリス鉄道のチケットの種類や買い方について基本的なルールや、できるだけ安く買うポイントをこちらの記事で詳しく解説しています。まずは、こちらの記事をご覧ください。
記事で解説している早割(Advance)運賃を活用すると、正規料金の80%OFF以上なることもあります。
イギリスで鉄道に乗車する場合は、かならず理解してきたい情報です。
ロンドン近郊列車はクレジットカードで乗車可
ロンドン近郊の列車はチケットを購入せずクレジットカードやデビットカードを自動改札にタッチするだけで乗車できます(Pay As You Go)。
クレジットカードの他にオイスターカードも使えます。
クレジットカードで乗車できるエリア
クレジットカードで乗車できるのはPay As You Goに対応した以下の圏内です(タップで拡大)。
ハリーポッタースタジオの最寄り駅Watford Junctionや世界遺産が多くあるグリニッジのMaze Hill駅などが圏内になります。
2024年6月時点での範囲なので最新情報は公式サイトで確認してください。
クレジットカードでの乗車方法
自動改札がある場合は黄色いセンサーの部分にクレジットカードをタッチするだけです。
自動改札がない郊外の駅には機械が設置されているので黄色いセンサーの部分にタッチしてください。
乗車時も降車時もタッチが必要なので忘れないようにしてください。
なお急行・特急など特別料金が必要な列車には乗車できません。
コンタクトレス決済についてはこちらの記事も参考にしてください。
イギリス鉄道の運行情報・運休の調べ方
列車の遅延状況や出発プラットフォームの情報は、National Rail公式サイトや公式アプリで確認できます。
公式サイトの場合、下記URLから確認できます。
アクセスすると下記画面になります。出発駅と到着駅(オプション)を入力して、Showをタッチします。上のタブで出発便(Departing)と到着便(Arriving)を切り替えられます。
出発予定時刻や出発プラットフォームが表示されます。後でも説明しますが、イギリスの列車は出発時刻の10~20分前にプラットフォームが確定するので、それまでは表示されません。
Google Mapの路線検索でも同じように、出発プラットフォームや遅延などの運行情報を確認できます。Google Mapで確認するのが一番お手軽です。
イギリス鉄道の路線図
イギリスの島内を網羅する鉄道ネットワークが構築されています。
ロンドン(London)、バーミンガム(Birmingham)、マンチェスター(Manchester)、リバプール(Liverpool)、グラスゴー(Glasgow)、ニューキャッスル(Newcastele)、エジンバラ(Edinburgh)などの主要都市の駅がハブになっています。
詳しい路線図は、National Rail公式サイトからダウンロードできます。
乗車の流れ
列車に乗車する流れを詳しく解説します。自動改札があったり、なかったり、路線や駅によって多少異なりますが、基本的な流れは同じです。
①鉄道駅へ移動
鉄道駅まで、地下鉄などで移動することが多いと思います。地下鉄駅には、鉄道駅への乗り換えルートが、National Railのマークで表示されています。この案内に従って移動すれば鉄道駅に到着します。
ロンドンでは地下鉄駅と鉄道駅が隣接していて、入口が紛らわしいので、下記写真のように鉄道駅入口には、しつこいくらいが書かれています。
②切符の購入
当日切符を購入すると割高ですし、窓口に並ぶ時間もかかるので、事前に切符をオンラインで購入しておくことをおすすめします。特に長距離列車の場合は、運賃がかなり変わってきます。
当然、駅の窓口や券売機でも購入できます。また、自動券売機ではオンラインで購入したチケットを発券(受け取り)することができます。
以下、窓口・自動券売機での切符の購入方法と、自動券売機で予約済チケットを受け取る方法を解説します。
オンラインで電子チケットを入手済の場合は、下のボタンで説明をスキップしてください。
②-1 窓口での切符購入
切符を簡単に購入するには、駅の窓口が一番です。ただし、混雑するときは30分くらい待つこともあります。窓口で切符を購入する場合は、少し時間に余裕を持って行動しましょう。
駅構内のチケット売り場には、Ticketsの表示があります。
以下はロンドン・ヴィクトリア駅のチケット窓口です。窓口の反対側に、自動券売機が並んでいます。
切符を購入するときは、乗車区間に加えて、以下を指定する必要があるので、覚えておくと便利です。
(1)時間帯
混雑する時間帯と空いている時間帯で料金が変わります。窓口で購入する場合、乗車する時間帯を言えば、オフピークかどうか選んでくれると思います。
・Off-Peak(オフピーク):平日の通勤時間帯(午前6:30-9:30くらい、午後17:00-19:00くらい)以外のオフピークの便に乗車できるチケットです。通常チケットから2~3割安くなります。
・Anytime(エニータイム):どの便でも乗車できます。いわゆる正規料金です。
(2)片道/往復
片道(One way/single)、往復(return)を選びます。イギリス鉄道は往復割引がかなりきくので、極力、往復切符を購入すると良いです。
(3)クラス
2nd Class(2等車) / First class(1等車)を選びます。短い乗車であれば、2等車でも問題ありません。
②-2 自動券売機の使い方
窓口は混雑していることもあるので、自動券売機の方がスピーディに切符を購入できます。
National Railの自動券売機は、運行会社によって機械が異なります。以下ではSouthern、Great Western Railway(GWR)、Virgin Trainsの3種類の自動券売機の使い方を順に紹介します。
大まかな流れは共通しているので、違う運行会社の切符を購入する場合にも参考になると思います。
Southern:Victoria駅
最初にロンドン・ヴィクトリア駅などに設置されているSouthernの自動券売機の使い方を解説します。
Great Western Railway(GWR):Paddington駅
続いてロンドン・パディントン駅などに設置されているGreat Western Railway(GWR)の自動券売機の使い方を解説します。
手順が似ている部分も多いので上記で説明した内容は省略します。
Virgin Trains:London Euston駅
最後に、ユーストン駅を起点に運行しているヴァージン・トレインズの自動券売機の使い方を解説します。
ヴァージン・トレインズは、ヴァージン・グループが所有しているイギリスの鉄道運行会社です。一時期は、イギリスの広い範囲で運行していましたが、最近は経営状態が悪く、多くの路線を譲渡しています。
以上、イギリス(ロンドン)の駅にある3種類の自動券売機の使い方をご紹介しました。3つを見ていただくとわかるように、基本的には同じ流れになっています。
③出発プラットフォームの確認
チケットを入手したら、出発プラットフォームを確認にします。駅構内には、下の写真のような電光掲示板があります。
掲示板には、行き先・出発時刻・出発プラットフォームなどが表示されます。たいていは10~20分前には表示されますが、出発時刻ぎりぎりまでプラットフォーム番号が表示されないこともあります。下記の例は 14:34発 Tring行きの列車、乗り場が8番(Platform 8)、と表示されています。飛行機と同じようにBoardingとなっているので乗車を開始しています。
電光掲示板以外にも上で紹介したGoogle MapやNational Railの公式サイト・アプリでもプラットフォームを確認できます。
④出発プラットフォームに移動
大きな駅は、プラットフォームもたくさんあるので探すのに時間がかかります。
下の写真は、ユーストン駅の8~11番線に行く通路の入口です。
こちらは、ヴィクトリア駅です。下の写真は、1~7番線の入口です。1番線は自動改札を通過した後、かなり先にあります。
改札を通過したあと、別の番号のプラットフォームに移動できる場合と、移動できない場合があるので、基本的には乗車するプラットフォーム番号が書かれた改札から入場するほうが無難です。
⑤改札
National Railの駅もロンドンを中心に自動改札が設置された駅が多いようです。
以下は、ロンドンの主要駅に多いタイプの自動改札です。オンラインで購入したQRコード付きのチケットは、QRコードの読み取り機があるのでスキャンします。また、上で説明したようにロンドン近郊ではクレジットカード/デビットカードや交通系ICカードOysterでも乗車できます。カードを黄色いセンサーにタッチします。紙の切符は挿入口に通します。
入場で問題があったら、有人の改札を探しましょう。大きな駅の改札には、下の写真のように係員がいる改札もあります(ちょっとわかりにくいですが)。
⑥乗車のしかた
プラットフォームの電光掲示板には、到着列車や出発列車の情報が表示されています。行き先や出発時刻があっているか確認しておくと安心です。
車両には、1等(first class)、2等(second class)があります。外からもわかるように表示されています。first classとわかるように書かれていなければ2等車だと思って良いでしょう。
黄色いボタンを押さないと扉が開かないタイプの電車もあります。ボタンを押して、扉を開けます。
⑥車内の設備
車内に荷物置きのスペースがある車両も多いです(特に長距離列車)。ただし、盗難が頻発しているので貴重品は中に入れない、他の荷物のじゃまにならないようにロックしておくなど、十分注意してください。
イギリスでは「座席指定なし」の列車が多いですが、指定ができる列車もあります。座席指定ありの列車では、下の写真のように座席の予約状態が表示されています。列車によって表示方法は異なりますが、予約席の場合、予約区間が表示されていることが多いです。下の写真の右には、London Pad to Oxfordと表示れているので、この区間で座席予約されています。左はAvailable(利用可)となっているので、誰でも座ることができます。
車内の座席は列車によって異なりますが、これまで私が乗車した列車は総じて清潔感がありました。シートの座り心地も悪くありません。
こちらは、パディンドン発オックスフォード行きのGreat Western Railway(GWR)の車内です。日本の特急くらいの感じです。車両の前後には、新幹線のように電光掲示板があり、次の停車駅などが表示されます。
⑥下車
出場時に改札がある駅と、ない駅があります。どちらにしろ、切符を持っていないと罰金になるので、降りるまで無くさないように管理しておきましょう。ロンドン近郊でカードを使って乗車した場合は、下車時も黄色いセンサーにタッチしてください。
ユーストン駅に到着した場合、出場時の改札はありませんが、出口付近にタッチする装置が置いてあります。
ユーロスターの乗車方法
ロンドンからフランス・パリ、ベルギー・ブリュッセルへ行くユーロスター(Eurostar)は国際列車なので、他のNational Railとは乗車方法が異なります。
出入国審査など時間がかかるので時間の余裕をみて、セントパンクラス駅(St.Pancras)に移動してください。
乗車方法について、詳しくはこちらの記事を参照してください。
以上、イギリスの鉄道(National Rail)について、列車の乗り方、自動券売機の使い方などを詳しく解説しました。