ミラノを代表する美術館「ブレラ絵画館(ブレラ美術館)」の見どころ、チケット予約方法、混みぐあい、アクセス方法、所要時間など、見学に役立つ情報をわかりやすく解説します。
ブレラ絵画館(ブレラ美術館/Pinacoteca di Brera)は、ミラノを代表する美術館です。
フィレンツェのウフィッツィ美術館や、ローマのバチカン美術館などと比べると、知名度は低いですが、ルネサンス期のイタリア絵画の傑作が多く展示されている人気の美術館です。
ミラノの人気観光スポットであるドゥオーモやスフォルツェスコ城からも徒歩10分以内ですので、気軽に行くことができます。
目次
ブレラ絵画館の攻略ポイント
ブレラ絵画館(ブレラ美術館)見学の計画をたてる上で、知っておきたい攻略ポイントをまず解説します。
攻略1:ブレラ絵画館とは?
ミラノを代表する美術館「ブレラ絵画館」の設立には、ナポレオンが関係しています。
18世紀末から19世紀初頭にかけてイタリアを征服したフランス軍が各地から収集した美術品をブレラに集めました。所蔵品が増えたため、1809年、ナポレオンの誕生日に一般公開されました。貴族の個人コレクションが元になっている事が多い、他のイタリア美術館とは成り立ちが異なります。
美術館には、イタリア芸術の最盛期とも言えるルネサンス期の絵画がたくさん展示されています。特に、ヴェネツィア派、ロンバルディア派の作品が多く所蔵されています。
ラフェエロ、ティントレット、ジョヴァンニ・ベリーニ、マンテーニャ、カラヴァッジョ、ルーベンスなど、名前を聞いたことがある画家の作品がたくさん展示されています。
ブレラ美術館と呼ばれることもありますが、イタリア語でPinacoteca di Breraなので絵画館の方が正確な名称だと思います。
攻略2:必見作品
ブレラ絵画館を代表する必見作品をまずは写真で紹介します。記事後半では、この他の作品や必見作品の簡単な解説をしています。
(1)ラファエロ「聖母の婚礼」(1504年)
(2)マンテーニャ「死せるキリスト」(1480年)
(3)ジョヴァンニ・ベリーニ「ピエタ」(1460年)
(4)ジェンティーレ・ベリーニ、ジョヴァンニ・ベッリーニ「アレクサンドリアで説教をする聖マルコ」(1504-1507年)
(5)カラヴァッジョ「エマオの晩餐」(1606年)
(6)ルーベンス「最後の晩餐」(1631–1632年)
(7)フランチェスコ・アイエツ「接吻」(1859年)
攻略3:混雑具合・行列の回避方法
繁忙期は混雑することもありますがドゥオーモに比べれば、行列はかなり短いです。
私が訪問した9月上旬もドゥオーモの行列には長時間並びましたが、ブレラ絵画館は即入場できました。
攻略4:チケットの選び方
ブレラ絵画館の入場料は12€です。
オンライン予約の場合、時間指定制になります。チケット売り場をスキップできるので行列の回避が可能です。なお、オンライン予約すると手数料が2€かかります。
ただ、上記の通り、混雑する観光スポットではないので、基本的には窓口での購入で良いと思います。
繁忙期に訪問する場合は、公式サイトのオンライン予約ページで残りチケットの枚数から混雑状況を判断すると良いです。
オンライン予約については、記事中で詳しく解説します。
攻略5:見学のテクニック
メインの展示エリアは1フロアなので、見学中に迷うことはありません。入館時に必見作品の展示場所が記載されたマップをもらえるので、それにしたがって見学するのが良いです。
公式サイトには、英語ですが、所蔵作品についての詳しい解説が掲載されています。お目当ての作品に関しては、事前に展示場所を検索することができます。
なお、オーディオガイドは日本語に対応していません。
攻略6:写真撮影
館内は写真撮影が可能です。ただし、フラッシュや自撮り棒などの利用は禁止されています。
攻略7:見学時間の目安
傑作が多く展示されているので、2時間くらいはかかります。ゆっくり鑑賞すると3時間くらいです。
ブレラ絵画館の入場料・おすすめのチケット
入場料は以下の通りです。
※18歳未満無料
※週末は65歳以上 1€
・第一日曜日:無料入場
・第三木曜日の18時以降:3€
上記のように曜日・時間によって割引、無料入場になります。
ブレラ絵画館の公式サイトでは、時間指定制の入場チケットを事前購入できます。チケット売り場の列をスキップできるので、繁忙期は混雑を回避できます。
ただし、オンライン予約手数料2€がかかるので、繁忙期以外は現地購入で良いと思います。
公式サイトのチケット予約ページは以下です。
下記のように入場する日付・時間帯を選択します。
最後の晩餐のチケット予約を試みた方は上記画面をご存知だと思います。最後の晩餐と違って、どの時間帯も予約できます。
同じVivaticketの予約システムなので、基本的な流れは同じです。最後の晩餐の記事の予約手順を参考にしてください。
ブレラ絵画館の営業時間・休館日
・火-日: 8:30-19:15
※最終入場 閉館35分前
・第三木曜日: 8:30-22:15
※最終入場 閉館35分前
■博物館の休館日:月曜日、1/1、5/1、12/25
ブレラ絵画館への行き方
ブレラ絵画館はミラノの主要観光スポットであるドゥオーモやスフォルツァ城から歩ける場所にあります。
ドゥオーモ、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア近辺からは徒歩で10分です。また、スフォルツァ城からも徒歩10分です。
一方、地下鉄の駅からは微妙に離れています。M2のLanza駅、M3のMontenapoleone駅、M1のCairoli駅が最寄りですが、どの駅からも7~10分かかります。バスは61番線のバス停 P.za S. Marcoが近く、徒歩で2分の距離です。
ミラノの地下鉄、トラム、バスなど公共交通機関の乗り方は、こちらの記事を参考にしてください。
ドゥオーモ、ガッレリアからブレラ絵画館へ
ドゥオーモやヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアからブレラ絵画館までの徒歩ルートをご紹介します。
以下のGoogle Mapのようにスカラ座の横を曲がってまっすぐ進めば到着します。
ドゥオーモ広場からヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアに入って、スカラ座のある反対側へまっぐ通り抜けます。
ガッレリアを抜けると、レオナルド・ダ・ヴィンチの像のあるスカラ広場に出ます。ダ・ヴィンチの像を右手に見ながらスカラ座の方へ進みます。
スカラ座が見えました。道路を渡ってスカラ座の右側にある道(ジュゼッペ・ヴェルディ通り)に入ります。この道をひたすら真っ直ぐ進みます。途中からブレラ通りに名前が変わります。
まっすぐ5分ちょっと歩くと見えてくる、以下の赤い建物がブレラ絵画館です。入口は30mくらい進んだところにあります。
ブレラ絵画館の入場方法
中に入ると中庭があります。中庭の中心には、イタリアの彫刻家アントニオ・カノーヴァによる「ナポレオン」の像があります。カノーヴァはナポレオンに依頼されパリを訪問したことがあります。
ブレラ絵画館の入口は2階にあります。階段で2階へあがります。
ブレラ絵画館の入口です。上部にPinacoteca di Breraと書かれています。
入館すると、すぐ左手にチケット窓口があります。私が訪問したときは、以下の写真のように列はできておらず、すぐチケットを購入できました。繁忙期は列ができるようです。
ブレラ絵画館のマップ
ブレラ絵画館の展示エリアは1フロアのみです。部屋の番号順に進めば館内を一周して、展示をもれなく見学できます。
紙のマップを受付でもらえますので、忘れずに受け取りましょう。
ブレラ絵画館の見どころ・必見作品
チケットの検札が終わると、展示エリアに続く通路があります。この先がRoom 1です。マップを見ながら部屋番号順に見ていくと良いと思います。
下の写真のように部屋番号が記載されています。ここは上の通路の左側にある1Aです。
1Aの部屋では、モッキローロ教会の礼拝堂の壁をそのまま移築して展示しています。
それでは以降、部屋番号の順に必見作品をご紹介します。美術の素人ですが、ハイライト作品には簡単な解説を記載しています。
ジョバンニ・バロンツィオ「聖コルンバの生涯」(1345 – 1350年) : ROOM 2
Maestro di San Verano「Maestro di San Verano」(13世紀年) : ROOM 2
リベラーレ・ダ・ヴェローナ「セバスティアヌス」(1480年) : ROOM 6
ジョヴァンニ・ベリーニ「ピエタ」(1460年) : ROOM 6
ヴェネツィア派の巨匠ジョヴァンニ・ベッリーニの作品です。処刑されたイエスの遺体を聖母マリアと使徒ヨハネが支えています。ミケランジェロの彫刻でも有名なように「ピエタ」は宗教画の代表的な題材です。
マンテーニャ「死せるキリスト」(1480年) : ROOM 6
ブレラ美術館を代表する作品と言えるのがアンドレア・マンテーニャの「死せるキリスト」です。初期ルネッサンスを代表する画家アンドレア・マンテーニャが晩年期近くに描きました。足の裏を手前に描くという斬新な構図は、当時としては画期的だったと思います。短縮法を活用しているため、奥行きがリアルに描かれています。
ジョヴァンニ・ベリーニ「聖母子像」(1510年) : ROOM 7
ジェンティーレ・ベリーニ、ジョヴァンニ・ベッリーニ「アレクサンドリアで説教をする聖マルコ」(1504-1507年) : ROOM 8
この絵は兄ジェンティーレ・ベリーニが描き始めましたが途中で亡くなってしまったため、弟ジョヴァンニ・ベリーニが引き継いで完成させました。横幅が8m弱ある、巨大な絵画です。どの部分が、どちらによって描かれたかは残念ながら伝わっていません。
ティントレット「St. Helen, St. Barbara, St. Andrew, St. Macarius, another Saint and a Worshipper Adore the Cross」(1560年) : ROOM 9
ドナト・ブラマンテ「ヘラクレイトスとデモクリトス」(1486年) : ROOM 10
ドナト・ブラマンテ「ハルバードを持つ男」(1486 – 1487年) : ROOM 10
ティントレット「聖マルコの遺体の発見」(1562 – 1566年) : ROOM 11
ティントレットもルネサンス期のヴェネツィア派を代表する画家です。師匠はティツィアーノです。焼かれようとしている聖マルコの遺骸をキルスト教徒が運び出そうとしている光景を描いています。聖マルコは、ヴェネツィアの守護聖人ですので、ヴェネツィア派の画家が好んで描きました。
ヴェロネーゼ「キリストの誘惑」(1582年) : ROOM 11
ジョヴァンニ・ジローラモ・サヴォルド「ペーサロの祭壇画」(1524-1525年) : ROOM 14
ロレンツォ・レオンブルーノ「幸福の寓意」(1525年) : ROOM 21
エルコレ・デ・ロベルティ「聖者たちと玉座の聖母子」(1480年) : ROOM 21
カルロ・クリヴェッリ「聖母子像と聖人」(1482年) : ROOM 22
ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ「Valle Romita Polyptych」(1410-1412年) : ROOM 22
ドナト・ブラマンテ「キリストのむち打ち」(1490年) : ROOM 24
ピエロ・デラ・フランチェスカ「ブレラの祭壇画」(1472–1474年) : ROOM 24
ピエロ・デラ・フランチェスカは、イタリア初期ルネサンスを代表する画家です。キリスト教の宗教画に用いられる聖会話が主題になっています。中心にいる聖母子を聖人たちが囲むような構図です。この絵では、洗礼者ヨハネ、聖ベルナルディン、聖ヒエロニムス、聖フランシスコ、、聖ペテロ、伝道者ヨハネが取り囲んでいます。ウルビーノのサン・ベルナルディーノ教会にあった祭壇画がブレラに持ち込まれたものです。
ラファエロ「聖母の婚礼」(1504年) : ROOM 24
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロに次ぐルネサンスの巨匠ラファエロ・サンティの作品です。ブレラ絵画館でもっとも有名な絵画かもしれません。パンフレットの表紙にも使われています。ラファエロの初期の代表作とされています。
カラヴァッジョ「エマオの晩餐」(1606年) : ROOM 28
ルネサンスに続いたバロック期の先駆者カラヴァッジョの作品です。バロック絵画の特徴である光と影のコントラストで場面をドラマチックに見せる演出がわかりやすく見て取れます。
ルーベンス「最後の晩餐」(1631–1632年) : ROOM 31
アンソニー・ヴァン・ダイク「女性の肖像」(1634-1635年) : ROOM 31
フランチェスコ・アイエツ「接吻」(1859年) : ROOM 38
「接吻」(THE KISS)はブレラ絵画館で人気が高い絵画です。19世紀の作品ですので、他と比べるとと新しいです。アイエツは、ミラノを代表するロマン主義派の画家です。ストッキングの赤、マントの襟の緑、ドレスの青と白は、イタリアとフランスの国旗を暗示しているそうです。
ヴェロネーゼ「The Agony in the Garden」(1582-1583年) : 現在は未公開
以上、必見の作品をご紹介しました。
また、ルートの最後には、カフェレストラン「Caffe Fernanda」があります。おしゃれなカフェなので、お茶をして名画を鑑賞した疲れを癒やしてもいいかもしれません。
メニューは、下記の公式サイトで閲覧できます。雰囲気のわりには、値段も手頃です。
参考)ブレラ絵画館の公式サイト
ブレラ絵画館の公式サイトは、オンラインでのコレクション紹介など、非常に情報が豊富なサイトです。訪問前に見ておくと良いと思います。
ブレラ絵画館公式サイト
以上、ミラノを代表する美術館「ブレラ絵画館」(ブレラ美術館)のチケット、行き方、必見作品などを詳しくご紹介しました。
[PR]ミラノ人気ツアー
-
観光 Spotsスポット -
定番スポット
ベスト10 -
「最後の晩餐」
チケット攻略法 - ドゥオーモ
- スフォルツァ城
- ブレラ絵画館
-
チンクエテッレ
見どころ -
チンクエテッレ
行き方
-
お役立ち Utility情報 -
地下鉄/
トラム/バス -
マルペンサ空港
アクセス -
ホテルの
選び方 - ミラノカード
- プリペイドSIM
-
ツーリスト ミュー
ジアムカード -
ミラノ中央駅
コインロッカー -
マルペンサ空港
おみやげ -
マルペンサ空港
お勧めカフェ
-
ミラノから Transfer移動 - ローマへ
- ベネチアへ
-
ジェノバ、
ニース、パリへ - スイスへ
こんにちは。
現在ミラノに来ており、こちらの見どころ紹介を大変参考にさせていただいています!
上記記事内にて現在非公開となっているヴェロネーゼの作品ですが、展示が復活しておりました。
あと入館料が15ユーロに値上がりしているようでした。
以上ご報告まで、コメント失礼いたしました。