ドイツ北東エリアの人気観光地ハンブルク、ベルリン、ドレスデンとチェコのプラハは、ドイツ鉄道DB/チェコ鉄道CDのEC(Eurocity)、ICE(Intercity-Express)で結ばれています。見所がいっぱいのこれらの都市を鉄道で移動しながら観光すれば、楽しい旅行になること間違いありません。この記事では、ハンブルク、ベルリン、ドレスデン、プラハ各都市の見所、および鉄道を使って移動する方法を解説します。本記事では、各都市について説明していますが、旅のスケジュールにあわせ、たとえばドレスデンをスキップしてベルリンから直接プラハへ行く、という場合にも参考にしていただけます。
目次
ハンブルク ⇔ ベルリン ⇔ ドレスデン ⇔ プラハ ルートの概要
ハンブルク、ベルリン、ドレスデン、プラハは下の地図のように、適度な間隔で離れています。特急列車ICE、ECで約2時間あれば都市間を移動できます。鉄道で移動して、観光して、また鉄道で移動して、という感じで楽に周ることができます。
Loading map...
都市間の正確な移動時間と鉄道料金は下記の通りです。ドイツ鉄道DB、チェコ鉄道CDはチケットを早割で購入するとかなり安くなります。約20€で都市間の特急に乗車できます。
↓↑ ICE/EC 1時間42分~ 19.9~81.5€
ベルリン中央駅(Berlin Hbf)
↓↑ EC 1時間53分~ 19.9~42.0€
ドレスデン中央駅(Dresden Hbf)
↓↑ EC 2時間20分 19.9~35.5€/367~681 CZK
プラハ本駅(Praha Hl.n.)
ドイツ鉄道DB、チェコ鉄道CDはチケットは早割で安く購入する方法は下記の記事を参考にしてください。
また、お金を少しでも節約したいという場合は、移動に高速バスも利用できます。FlIXBUSなどが格安料金で有名です。運賃は10€くらいからあります。ただし、交通渋滞などでバスは鉄道より遅れが生じやすいので注意してください。ドイツ鉄道も少なからず遅延しますが。
ご参考までに、4都市を周遊する場合のお勧めプラン(泊数)は以下の通りです。
観光:倉庫街、ミニチュワ・ワンダーランド、エルプフィルハーモニーなど
・ベルリン 1日目夜~3日目朝 (2.5日/2泊)
観光:ペルガモン博物館、新博物館、ベルリンの壁、ブランデンブルク門、ポツダム(サンスーシ宮殿、ツェツィーリエンホーフ宮殿)など
・ドレスデン 3日目昼~4日目昼 (1.0日/1泊)
観光:レジデンツ宮殿(歴史的緑の丸天井)、ツヴィンガー宮殿(アルテマイスター)、君主の行列の壁画
・プラハ 4日目夕~6日目昼 (1.5日/2泊)
観光:旧市街広場、カレル橋、プラハ城、聖ヴィート教会
日程に余裕がある場合は、ハンブルクからデンマークのコペンハーゲンまで渡り鳥列車で移動する、のもお勧めです。もしくは、プラハからチェスキクロムロフに足を延ばしても良いと思います。渡り鳥列車は、列車に乗ったままフェリーに乗船するため、列車旅なのにフェリーも楽しめるので人気があります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ハンブルグ⇔ベルリンのアクセス
ハンブルクの概要・見所
ハンブルク(Hamburg)はドイツ最大の港湾都市です。中世からハンザ同盟の中心として歴史のある都市で「ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館街」として世界遺産に登録されています。
倉庫街以外にも見所が多く特に人気が高いのが世界中の風景をミニチュアで再現した「ミニチュア・ワンダーランド」です。大人から子供まで楽しめるテーマパークになっているのでお勧めです。
ハンブルク⇔ベルリンの鉄道・ハンブルク中央駅
ハンブルク中央駅からベルリンまではドイツの誇る高速鉄道ICE(Intercity-Express)で1時間40分、ECで2時間です。チケットは早割で購入すれば約20€から購入できます。1時間に1~2本、運行されています。
ハンブルク中央駅です。開業は1906年で100年以上の歴史がある駅です。第二次世界大戦で激しく破壊されたため、戦後に復興されて現在の姿になっています。
ハンブルク中央駅は北側と南側にコンコースがあり、プラットフォームを見下ろせます。
ライプツィヒ中央駅(Leipzig Hbf)行きのICEでベルリンに向かいます。ライプツィヒ行き以外にも、ミュンヘン中央駅(München Hbf)行き、プラハ本駅(Praha hl.n.)行きもベルリンを経由します。ドイツ鉄道DBの電車の詳しい乗り方は、下記の記事を参考にしてください。
ICEの座席は2等車でもゆったりしていて乗り心地が良いです。座席指定をしていませんでしたが、空いていたので余裕で席を確保することができました。ハンブルク-ベルリン間は便が多いので、他の区間よりは空いていましたが、座席指定をしておくほうが無難です。
ハンブルクーベルリン間は途中のどかな田園地帯を走ります。風力発電機と夕焼けの組み合わせが美しかったです。
ICEの最高速度は300km/hですが、ハンブルクーベルリン間の線路は従来線を改良したものなので230km/hが最高です。ちなみにICEの最高速度を体感するには、ボン-フランクフルト空港遠距離駅のICEに乗車する必要があります。
定刻どおりハンブルクから1時間40分ちょっとでベルリン中央駅に到着しました。
駅の一番下層、地下2Fに到着しますので、ワシントン広場やヨーロッパ広場のある地上1階に出るにはエスカレーターで2階分登る必要があります。構内図の一番下がICEが到着するプラットフォームです。5層の真ん中が地上1階になります。
ベルリン⇔ドレスデンのアクセス
ベルリンの概要・見所
ドイツの首都ベルリンはベルリンの壁やブランデンブルク門、世界遺産「博物館の島」などたくさんの見所があり、ちょっと足を延ばせば、ポツダムのサンスーシ宮殿なども観光できます。最低でも2泊はしてゆっくり観光を楽しみたい都市です。
ベルリンの象徴「ベルリンの壁」で一番有名なのはイーストサイドギャラリーに描かれている「ブレジネフとホーネッカーの熱いキス」ではないでしょうか。東ドイツのホーネッカー書記長と旧ソ連のブレジネフ書記長が熱いキスを交わすシーンは風刺で描かれたと思われがちですが、実際にキスしたらしいです。
もう一つのベルリンのシンボルといえば「ブランデンブルク門」です。東西ドイツ分断中は門のすぐそばに壁があり、往来が制限されました。ベルリンの壁の崩壊後は、自由に往来できるようになり東西ドイツ統合のシンボルでもあります。
ベルリンにある世界遺産「博物館の島」にはペルガモン博物館、新美術館など世界有数の博物館が集まっています。下の写真はペルガモン博物館の目玉イシュタール門です。
ベルリンから近郊列車で30分ほど足を延ばすと、世界遺産「サンスーシ宮殿」のあるポツダムに行くことができます。ポツダムといえば、第二次世界大戦で連合国が日本への無条件降伏を求めたポツダム宣言でも有名です。アメリカ、イギリスの大統領・首相がポツダム宣言について議論したツェツィーリエンホーフ宮殿も見学できます。
ベルリン市内のメトロ/鉄道/バス/トラムのチケットの買い方、乗り方などは下記の記事で詳しく解説しています。
ベルリン⇔ドレスデンの鉄道・ベルリン中央駅
ベルリン中央駅からドレスデンまでの所要時間は直通のECで約2時間です。ライプツィヒ中央駅で1回乗り換える経路だと3時間かかります。チケットは早割で購入すれば約20€から購入できます。乗り換えなしの直通は2時間に1本運行しています。ライプツィヒ中央駅経由は1時間に約1本運行しています。時間を調整できるのであれば直通便に乗るのが楽でしょう。
ベルリン中央駅です。ドイツで2006年に開催されたワールドカップにあわせて建設された近代的な駅です。ドイツ鉄道のICE、ECだけでなく近郊電車Sバーン、地下鉄も乗り入れています。
ベルリン中央駅の構内図です。地上3階、地下2階の構造です。地上3階に長距離列車が出発する11-14番線とSバーンが出発する15,16番線があります。地下2階には長距離列車ICE、IC、ECが出発する1-8番線があります。
ワシントン広場側(上の写真)から駅に入ると、すぐ右手に発着列車の掲示番があります。ここで出発するプラットフォームを確認しましょう。
上でも書きましたが、1-8番線は地下2階に降り、11-14番線は3階に登ります。下の写真のように1-8番線とUバーン(地下鉄)は下り階段/エスカレーター方面に表示がでています。
地上階から地下1階に降りると、地下2階のプラットフォームを見渡すことができます。
15:04発 ドレスデン中央駅経由プラハ本駅行きのEC177は、地下2階の1番プラットフォームからの発車です。この列車はハンブルク中央駅発です。動力車はドイツ鉄道の101形でした。
事前にオンラインで2等車をチケットを購入していました。列車は混んでいましたが、なんとか座席を確保できました。予約していないとバタバタしてしまうので座席指定をしておいたほうが精神衛生上よいです。車両はチェコ鉄道CDのものでした。車内にはチェコ鉄道CDの車内誌が置いてありました。シートはハンブルクーベルリン間のICEの方が座り心地が良かったです。
コンパートメント(個室)タイプの車両もありました。知らない人と向かい合わせになるのは気まずいので、オープンサロンタイプのほうが個人的には落ち着きます。
ECには、その路線にゆかりのある著名人の名前がついていてクールです。EC176/177にはハンブルク出身のドイツの作曲家ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms)の名前がついています。
定刻どおり1時間52分でドレスデン中央駅に到着しました。ドレスデン中央駅は、ベルリン中央駅ほど大きくないので迷うことは少ないと思います。
ドレスデン⇔プラハのアクセス
ドレスデンの概要・見所
ドレスデン(Dresden)はエルベ川沿いにあり古くから栄えた古都です。歴史ある美しい建物が立ち並ぶ街でしたが、第二次世界大戦終盤にドレスデン爆撃と呼ばれる大規模な爆撃を受け、市内の85%が破壊されました。復興への努力の成果で今は美しい姿を取り戻しています。ベルリン、プラハと比べると知名度はいまひとつですが、レジデンツ宮殿の歴史的緑の丸天井、ツヴィンガー宮殿など必見の見所が多くあります。
レジデンツ宮殿には「歴史的緑の丸天井」と呼ばれる部屋があり、宝石などザクセン王家の目もくらむような宝物を見学できます。
ドレスデンの名所のひとつ壁画「君主の行列」です。絵はタイルに描かれており、奇跡的に爆撃を免れました。
ツヴィンガー宮殿にはアルテ・マイスター(絵画館)があり、フェルメールなど貴重な作品がたくさん展示されています。下のかわいい二人の天使の絵画も某イタリアンレストランチェーンの壁にも描かれており有名です。
実はこの天使たちは、ラファエロの「システィーナのマドンナ」という絵画の下にちょこっと描かれたものです。絵画そのものより有名になってしまうという、おそるべきスピンオフ作品です。
ドレスデン⇔プラハの鉄道・ドレスデン中央駅
ドレスデン中央駅からプラハ本駅までの所要時間はECで約2時間20分です。2時間に1便運行しています。チケットはドイツ鉄道DBでもチェコ鉄道CDでも購入可能で、どちらも早割で安く購入することができます。ドレスデン-プラハ間の運賃は、ドイツ鉄道DBで購入すると19.9€~(約2,650円)で、チェコ鉄道CDで購入すると367~CZK(約1,900円)です。物価の安いチェコのほうが安くチケットを購入できるようです。ドレスデン-プラハ間だけでなく、ベルリン-プラハ間、ハンブルク-プラハ間も基本的にはチェコ鉄道CDで購入したほうが安くなります。チェコ鉄道CDでチケットを購入する方法は下記の記事で詳しく解説しています。
ドレスデン中央駅の外観です。開業は1897年と古いですが、駅舎がドレスデン爆撃によって大破したため、戦後再建されました。
ドレスデン中央駅の構内図です。チェコ行きの電車は2階の1番プラットフォームから出発するものが多いようです。反対方向のベルリン行きは同じく2階の17番プラットフォームからの出発が多いようです。
下記のリンクから構内図のPDFをダウンロードできます。
上の構内図のように2階にある1~4番線、17~19番線に上がる階段があります。プラハ行きは1番線から出るので左の階段を上がります。
1番プラットフォームで13:08発プラハ本駅行きのEC 379を待ちます。列車は時刻どおりに到着しました。座席指定をしていなかったので出発予定より10分以上早く行って待っていました。が、ドイツでは列車乗車時に列を作って待たないのであまり意味はありませんでした。ほぼ満席だったので席の確保に苦労しましたが、かろうじて座ることができました。ご参考までにEC 379/378の名称は、ドイツ出身の作曲家でプラハ歌劇にも貢献したカール・マリア・フォン・ウェーバー(Carl Maria von Weber)になっています。
Bad Schandau駅がドイツ国内の最後の駅になります。次の停車駅Děčín hlavní nádražíからチェコです。チェコに入ったとたん駅名にダイアクリティカルマーク(発音区別符号)がたくさん付くようになるので、ある意味わかりやすいです。
検札は、ドイツ路線内とチェコ路線内、両方で周って来ました。チェコ鉄道側の検札のおにいさんはイケメンでした。
プラハ本駅に定刻の15:27に到着しました。所要時間2時間19分でした。プラハ本駅については下で詳しく説明しますが、列車は0階に到着します。0階は実質、地上3階になり、地上に外に出るには2階分、下りることになります。
プラハについて
プラハの概要・見所
その美しさに魅了される旅行者が多いことでも有名なのがチェコの首都プラハです。街の中心をヴルタヴァ(モルダウ)川がゆったり流れています。西欧諸国と比較して物価が安く、テロが少ないこともあり最近日本人旅行客の人気も増しています。見所は、旧市街広場、天文時計、カレル橋、プラハ城、聖ヴィート教会と挙げれば切りがありません。プラハ城や旧市街は「プラハ歴史地区」として世界遺産に登録されています。
旧市街広場はいつでも観光客で大混雑しています。旧市街広場で人気なのが天文時計です。毎時ちょうどの時間になると、からくりが動き出し観光客を楽しませてくれます。
チェコ出身のデザイナー アルフォンス・ミュシャは日本でも大人気です。プラハにはミュシャ博物館(美術館でないのが残念)もあります。聖ヴィート教会には、ミュシャがデザインした美しいステンドグラスがあります。
プラハの町は夜中まで賑やかです。プラハ城とカレル橋は夜景も美しいので、夜のヴルタヴァ川沿いを散歩しながら夜景を楽しむのもよいと思います。
プラハ市内のトラム/地下鉄/バスの乗り方や1日乗車券の買い方は下記の記事を参考にしてください。
また、プラハのホテルの選び方やお勧めホテルについて下記の記事で解説しています。
その他、プラハ空港へのアクセスやスーパーで買えるお勧めのお土産など、プラハ観光で知っておくと便利なことを下記の記事で紹介しています。
プラハ本駅
プラハ本駅はプラハの中心駅で国際列車などはすべてプラハ本駅を通ります。プラハには本駅以外にもプラハ-ホレショヴィツェ駅があり、ハンガリー ブダペストやポーランド ワルシャワ行き列車が発着します。下の写真はプラハ本駅の
プラハ本駅の構内図です。列車が発着する0階(実質3階)、-1階(実質2階)、-2階(地上)からなっています。
-1階にはチェコ鉄道の窓口があります。プラハ市内のトラム/地下鉄/バスのチケットは購入できません。
-2階(地上1階)にはツーリストインフォメーションがあり、ここでトラム/地下鉄/バスのチケットを購入できます。
コインロッカーと有人の手荷物預かり所もあります。詳しい情報は下記の記事を参考にしてください。
以上、ハンブルク、ベルリン、ドレスデン、プラハを鉄道で巡る場合の各都市の見所、および鉄道の乗り方を解説しました。